クイーンを愛したチーフのブログ

書き出しは既にもう決めている。「今から私が記すこの物語は、クイーンを愛したチーフのブログである」と

かっちゃんと僕

失礼します。

しゃあtheSkywalkerです。

 

 

かっちゃん(仮名)と言うのは

僕が中学1年生の時のクラスメート。

 

皆からかっちゃんと呼ばれていました。

ちなみに僕は名字で呼んでいて

今は下の名前に“さん”を付けて呼んでます。

 

 

 

僕はかっちゃんの事を

小学生の頃から知っていました。

違う小学校でしたが

悪ガキ的な噂で有名でした。

 

中学で同じクラスになったのですが

噂以上のヤンチャっぷりで

すぐさまクラスの中心となります。

 

中学生ってヤンキーぽくて目立っていると

それだけで女子からモテますよね。

かっちゃんはそれだけで無くて

イケメンで運動神経も良く、

天才的にトークが上手いという男でした。

 

 

 

僕とかっちゃんは同じサッカー部で

少しずつ仲良くなっていきます。

夏ごろにはお互いの家へ

泊まり合う仲になりました。

(注、変な意味ではなく)

 

 

かっちゃんの天才的トーク

いつもクラスの皆を笑わせていました。

そうは言っても独演会では無く

皆の話に的確なツッコミを入れ

膨らませて笑いに替える

名司会者のような感じ。

 

中学生とは思えない廻しっぷりでした。

 

 

当時、僕自身も面白い事を言うのが好きで

それをかっちゃんがツッコんで

自分の予想以上の笑いにしてくれてました。

 

的確だし早いし言葉のチョイスも良い。

こんなトーク力、僕も欲しいなあと

羨ましい気持ちもありました。

 

何かの時、チラッと

「親が会社の社長をしている」と

言っていたのですが

親分肌の性格は

親譲りなのかなぁとも思いました。

 

 

 

そんなかっちゃんですが

いつも僕のことを

「面白い」「発想が普通と違う」と

言ってくれました。

 

面白いかっちゃんに言われると

素直に嬉しかったですね。

 

 

中2、中3と別々のクラスになりましたが

かっちゃんと僕を含めた数人は

いつも集まってつるんでいました。

 

 

 

かっちゃんは中2くらいから

本格的なヤンキーぽくなって

暴走族の先輩達の中に

出入りするようになりました。

 

僕もよくかっちゃんに付いて行って

先輩達に色々教えてもらいました。

 

その頃にタバコや麻雀とか

覚えたのですが

「シンナーだけは吸うなよ」と

かっちゃんは注意してくれてました。

 

かっちゃん自身もシンナーだけは

絶対に断っていたみたい。

 

 

お互い学校をサボりがちになり

何度か親を呼び出されたりしましたが

無事に卒業をして高校生になります。

 

僕は何て言うかチャラい高校に行き

かっちゃんは少し不良っぽい高校に入りました。

 

別々の学校に行っても

僕らはよく遊びましたし

毎日のように長電話してました。

 

学校をサボってパチンコ屋のモーニング並んだり

お互いの彼女を連れてWデートをしたりと

とにかく仲が良かったです。

 

 

3年生になった頃

かっちゃんはヤンキーぽさが薄れ

女遊びも落ち着いて

進学を目指すようになりました。

 

「ゆくゆくは親父の会社を継がないといけない」

と言ってました。

そう言えば中学生の時に

チラッと聞いたなと。

普段、親のことを全然話さないから

忘れてました。

 

かっちゃんは頭悪くないけど

今まであまり勉強をして来なかった。

経理か何かの大学に行きたいけど

現実的に考えて無理。

 

そこでまず2年間の専門学校に入り

そこから関西の大学へ編入試験を受けるしか

方法がないと言い

その専門学校へ向けて勉強を始めました。

 

 

僕自身も大学に進学するつもりでしたが

「大学受験なんて楽勝だろう」と

全く勉強をせずに挑みました。

 

結果は2人とも行きたい学校へ進学し

楽しい学生生活が始まったのです。

 

四年制の大学は空き時間も多く

誰にも拘束されないので

車を手にした僕は遊びまくりの毎日でした。

 

かっちゃんの専門学校は

朝から授業がみっちり詰まっていて

多くの課題を出されていました。

 

そんなかっちゃんを横目に

「自分は大学に入れてラッキーだなぁ」と

思っていました。

 

2年間はあっという間に過ぎ

かっちゃんは最大の難関である

編入試験に挑みます。

 

多分、相当頑張ったんでしょうね。

かっちゃんは見事に合格しました。

 

あのかっちゃんが

晴れて大学生になってしまったのです。

 

かっちゃんは在学中に

ある資格を取らないといけないらしく

まだ気を抜けないと言った様子。

その後も勉強を続けていました。

 

 

大学を卒業したかっちゃんは

親父の会社の関係企業に就職しました。

いわゆる「修行」ってやつですね。

 

僕は目指すものが無くて

プラプラとフリーターをしていました。

 

そんな時かっちゃんから

「お前、ウチの会社に入らん?」

と誘われました。

 

かっちゃんは昔から僕のことを

買いかぶり過ぎるくらい

能力が高いと褒めてくれていました。

 

特にやりたい仕事も無かった僕は

かっちゃんの口利きで

かっちゃんの親父さんの会社へ

就職することになりました。

 

社長(かっちゃんの親父)は

かっちゃんのように抜群のトークスキルを持ち

ハンサムで親分肌で

僕を息子のように扱ってくれました。

 

いっぱい目を掛けてくれたし

いっぱい説教をもらったし

僕も社長を親父のように思っていました。

 

仕事の成果も順調に出せるようになり

社内でもそこそこ評価されるように

なってきました。

 

しかし僕は徐々に

壁にぶつかるようになります。

 

その時に痛烈に感じました。

「今まで僕は何の苦労もしてない」と。

 

受験も就職も楽をしたぶん

今になってツケが来たと。

 

当時は出口の見えない

長いトンネルの中に居るような感覚でした。

何が足りないのかも分からないので

小さな事からひたすら頑張りました。

 

毎日の日記を付けたり

調べ物は誰よりも詳しく調べたり。

 

当時の努力は40越えた今でも

何かしら役に立っています。

 

「無駄な努力はない」

 

先人たちから飽きるほど聞かされる言葉。

今では飽きられるほど後輩に言っています。

 

 

営業成績は出せていたので

周りから分からなかったと言われますが

当時やっぱり苦しかったです。

 

そしてトンネルを抜け出た僕は

自信も取り戻し

仕事がめちゃくちゃ楽しくなりました。

エリア内でも他社に負けない精神で

無双と言っても良い状態。

 

そんな時

かっちゃんが修行の身を終え

ウチの会社に入ることになりました。

 

 

不思議な気分ですよ。

毎朝、出社するとかっちゃんが居るのが。

中学の頃からふざけあっていた

かっちゃんが机に座っているのが。

 

毎日が遊びの延長みたいな感覚で

仕事中も馬鹿話をよくしたし

仕事の後も飲みに行ったりしました。

 

 

かっちゃんは入社してすぐ

持ち前のトークスキルや行動力で

営業成績を伸ばしていきました。

 

僕とかっちゃんの2人だけでも

相当な売り上げを達成していたので

他県への新規獲得にも動きました。

 

今ではお互いの担当エリアを決めてますが

当時は2人で一緒に他県をよく周りました。

楽しかった。

ただただ楽しかったに尽きる。

 

忘年会や花見

会社の旅行の際でも

かっちゃんは僕の隣りにすぐ座る。

 

2人で話していると

時間があっという間に過ぎる。

 

かっちゃんは仕事に対して

全く手を抜かず

あるメーカー(我が社の取り扱う主要メーカー)の

全国の代理店内で1位を獲り

表彰されたりしてました。

 

仕事も順調でしたし

お互い結婚もしてすぐ子どもが出来て…

 

楽しく充実した日々を過ごし

30代前半くらい

かっちゃんは専務になり

僕も役職が付きました。

 

「お前は良い兄貴分だから

これからは社内のことも頼むぞ」

 

社長にそう言われ

今まで以上に仕事に精を出す思いでした。

 

それまでも後輩たちを可愛がってて

慕われていると言う自負があったので

教えてあげたり相談に乗ったりしてました。

 

 

気持ちが落ちている子を察して

食事に誘って話を聞いたりしてましたが

1人だけ悩ましい子がいました。

 

その子はどうも気分のムラが大きくて

乗ってる時は絶好調なのですが

長続きしないのです。

そして気持ちが乗らない時は

あからさまに態度に出て

他の子たちに迷惑がられていました。

 

「どうしたモンかなぁ」

 

慕ってくれてて可愛いのですが

僕の悩みのタネになってました。

 

いろいろと手を打ってみたり

その子に対する他の子の感情をなだめたりと

中々難しい案件となってきました。

 

その頃から

会社の体勢に対する不満が出てきて

社長に提案を何度かしました。

 

皆んながヤル気を出すため

考えに考え出した改善案を却下され続け

僕自身の気持ちを

維持することが困難になってきたのです。

 

 

顔には出さないように

なるべく普段通りにしていましたが

ある日

どうしても会社に居たくなくなり

5時になってすぐ家に帰りました。

 

 

別に早退でも無いし

用事があって定時で帰る事もあるし

そんな珍しい訳では無い。

 

しかし家に帰ってすぐ

かっちゃんから着信がありました。

 

「お前どうしたよ?」と。

 

その日

会社でかっちゃんとは会って無いのに

僕の異変に気付いた様子でした。

 

僕は悟られまいと

「いや、ちょっと体調が悪くさ…ははは」

と誤魔化しました。

 

「そっか…じゃあ大事にしろよ」

とかっちゃんは心配してくれました。

 

電話を切った僕は

ふぅ〜っと一息つき、

子どもと戯れていました。

 

 

30分後くらいでしたかね、

ピンポーンと玄関のチャイムが鳴り

外を見てみると

そこにはかっちゃんの姿がありました。

 

僕はビックリして外に出ると

「今からちょっと飲もう」

とかっちゃんに誘われ

近くの焼き鳥屋さんへ行く事になりました。

 

 

普通さあ

体調が悪いと言ってるやつを

飲みに誘うか?

 

完全に嘘だとバレてるやん。

 

飲みながら2人で色々と話しました。

かっちゃんは僕のことを

全部お見通しでした。

 

そして会社に対する僕の不満を

嫌な顔せず全部聞いてくれました。

 

会社を辞めたいと言った僕に

「俺が社長になった時、

お前の助けが絶対に必要だから」

と必死で説得してくれました。

 

10年経った今でも

その時のかっちゃんの顔は忘れません。

 

そして誘ったくせに手持ちがないと言って

その場のお代を僕が払ったことも忘れません。

 

 

当時の僕は嫁さんに

「辞めたい辞めたい」と毎晩言ってて

嫁さんも「いいよ」と言ってくれてました。

 

多分あの日

焼き鳥屋に行って無かったら

会社を辞めてたかも知れない。

 

もしかしたら

路頭に迷う人生を歩んでいたかも。

 

大袈裟に聞こえるかもしれませんが

僕にとってのターニングポイントでしたし

かっちゃんは恩人とも言える。

 

ここまで僕を必要としてくれて

こんなに好きでいてくれる友人を

誰が裏切れるというか。

 

僕は一生を掛けて

かっちゃんと仕事をすると

心に誓いました。

 

 

 

 

 

 

今年もまた花見のシーズンが来ました。

 

 

我が社は毎年

関係各位を集めて花見を開催します。

 

だいたいこういう行事での司会は

僕が担当しています。

 

 

「皆さん、お忙しい中

集まっていただき誠にありがとうございます。

それでは4月から就任いたしました

新社長から挨拶をいただきたいと思います!」

 

 

まさか

かっちゃんの社長就任の司会を

僕が務めるなんて…

 

中学の頃からじゃ

想像もつかなったな。

 

 

かっちゃん、社長就任おめでとう!

 

 

そして

しゃあtheSkywalker!

取締り役員入りおめでとう!

 

 

 

 

今回は以上で失礼します。

 

お相手は

経営者側の立場になった

しゃあtheSkywalkerでした。