クイーンを愛したチーフのブログ

書き出しは既にもう決めている。「今から私が記すこの物語は、クイーンを愛したチーフのブログである」と

とある夫婦デュオを聴いた僕

失礼します。

しゃあtheSkywalkerです。

 

 

僕は仕事柄、車に乗る機会が多く

ラジオをよく聴きます。

特にAMラジオが好きでして

“おっさん臭い”と言われますが

ジジ臭いトーク番組や野球中継が目当てで

AMラジオ派を自負しております。

 

そんな事はどうでも良く

たしか僕が22歳くらいだった頃の

とある土地で経験した話を聞いて下さい。

 

 

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学生の頃からバンド活動をしていた僕、

ハタチ頃には名が売れ出してきて

少しずつ活動内容も充実し始めていました。

 

CDも売れ、雑誌に取り上げられたりもし

大学生の僕にとっては

他の人が経験出来ないような日々を送ってました。

 

その日も名古屋市中区の新栄(しんさかえ)にある

ダイアモンドホールというライブハウスで

大きなイベントがあり

僕たちも出演させていただいてました。

 

自分たちの出番も終わり

フロアの後ろの方から

ライブを見ていた時の事です。

 

僕らの近くで

ビデオカメラを片手に黙々とステージを撮影する

1人の女性が目に付きました。

 

撮影禁止なのに堂々と撮っているから

関係者なのかと思いきや、

イベントのパスを持っていない。

 

しかも水商売風の見た目で

その日のイベントの雰囲気にも合ってない。

 

僕らはその女性の事が気になり

「おい、おまえ話し掛けろよ」

「何でだよ!自分で話し掛けろよ」

なんてやり取りを数分した後

話し掛けることにしました。

 

 

その女性は水商売風の派手な見た目で

モデルのようなスタイルの美人。

 

しかしながら喋ってみると

とても笑顔がキュートな人懐っこい感じ。

 

 

話を聞くと

その女性はX県でCDショップを数店舗経営していて

さらに数年前にはインディーズレーベルを立ち上げ

X県で活動している若手のバンドを

全国に売り出している

やり手の女社長さんとの事。

 

そのX県で今度大きなイベントを開催するらしく

そこでメインとなるバンドが

今日のダイアモンドホールに出演していたので

はるばる名古屋まで見に来たらしいんですの。

 

ふむふむ、確かに今日のイベントも

そのバンドのおかげ様で超満員。

おそらくX県でも変わらぬ人気でしょうな。

 

そんな話を色々聞いていると

その社長が僕らにもイベントへ出演して欲しいと

言い出し始めました。

 

今日の僕らのライブを見て

気に入ってくれた(社交辞令かも)らしく

今回、名古屋まで来たのは

出演バンドを探す目的もあったので

是非X県まで来て欲しいと。

 

 

当時の僕らは

「ツアー」って呼べるほどでは無いにしろ

東京や大阪はもちろん

他県へ呼ばれる事はそこそこあり

慣れてはいたものの

こんな成り行きの流れでのオファーには

正直ビックリというのが本音。

 

 

でも今日のイベントのメインのバンドは

それこそ全国的に有名なバンド。

数ヶ月前、一緒にライブが出来ると聞いたとき

飛び跳ねるほど喜んだほど。

 

そんなバンドとX県でまた御一緒出来るなんて

幸運としか言いようがありません。

 

早速、僕らのスケジュールを

管理してくれている人に連絡をとり

X県でのライブを組んでもらうことにしました。

 

 

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4月の終わりだったと思います。

ハイエースに機材を積んで

朝からX県へと出発しました。

 

イベント会場の近くに到着したのは

昼の2時過ぎだったかな。

リハーサルの始まる時間にはまだ余裕があるので

コンビニに寄って少しゆっくりしていました。

 

 

会場の近くに来たとは言っても

正確な場所が分からなかったので

店員さんにでも尋ねようという話になりました。

 

するとメンバーの1人が

「店員の女の子めっちゃ可愛いよ」

と言い出したので

じゃあその女の子に話し掛けようと

単純な男子のノリで皆んなで店内に入りました。

 

事前にジュディマリYUKIに似てると

メンバーから聞いていましたが

どこからどう見ても

ジュディマリYUKIちゃんでした。

 

 

ノリノリで話し掛けるウザい僕らに対して

嫌な顔をせず丁寧に

道の説明をしてくれるYUKIちゃん。

 

「今夜、そこでイベントがあるの知ってる?」

と尋ねてみると

「あ!私の友達が見に行くって言ってました」

と言われ嬉しくなりました。

 

パッと入ったコンビニの店員が

今夜のイベントを知ってるとは。

かなりお客さんが入りそうな予感ですよ。

 

 

 

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想像通り、いや想像以上に観客が入り

僕らのようなバンドでも

かなり盛り上がってくれました。

 

後に聞くところによると

あの社長さんが自身のCDショップにて

今日の出演バンドをかなり宣伝してくれていて

事前に僕らの知名度も上げてくれてたらしい。

 

社長は「仕事だから当然だよ♪」なんて言うけど

盛り上げようとする熱心な姿には

感動すら覚えるほどでした。

 

 

イベントが無事に終了し

多くのお客さんが物販コーナーに押し寄せ

僕らも声を張り上げグッズを販売。

 

有難いことにCDやステッカーなど

数人に買っていただき

忙しくしていた最中のことです。

 

帰る人の波の中に

コンビニ店員のYUKIちゃんを発見しました。

 

僕と目が合ったYUKIちゃんは

こっちに向かって手を振ってくれました。

 

「あれ?来てたの〜!」

と僕が話し掛けると

「来ちゃいました!カッコ良かったです!」

と返してくれました。

 

ガヤガヤとしたエントランスで

僕は物販で手いっぱい。

ゆっくり話すことも出来ずに

YUKIちゃんの姿はすでに見えない状態。

 

バイト中に話し掛けちゃって

ウザく思われても普通なのにね。

来てくれてたとは驚きです。

 

ちゃんとお礼したかったなあ。

なんて思ったり思わなかったり。。。

 

 

 

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県外でのライブって

もちろんアウェーな訳で

「1人でも気に入ってくれたらラッキー」

って気持ちでいつも挑むんですが

X県で感じた温かみは非常に稀。

 

社長の熱意もそうですし

あの日、ライブを観てくれたお客さんも

温かい人達だったし

僕らにとって良い思い出になりました。

 

そんな熱も冷めないころ

社長からまた次のイベントへの

オファーが来ます。

 

僕らは二つ返事で承諾。

 

またX県でライブが出来る。

こんな嬉しい事はありませんよ。

 

 

 

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その年の10月の日曜日でした。

会場は前と同じ。

また僕らは朝からX県へと出発します。

 

僕らにはスタッフと言うか

数人の取り巻きがいつも同行してくれて

ライブの手伝いをしてくれるのですが

 

その中の歳下の子が

「ライブが終わっても土曜日までX県に滞在する」

と言っていたんです。

 

僕らが出るイベントの次の土曜日にも

社長が主催する大きなイベントがあるようで

折角だからそれを見てから帰ると。

 

それを聞いた僕は

面白そうだなと思い

一緒に滞在することにしました。

 

とは言え僕は用事があって

金曜日までしか滞在出来ず

土曜日のイベントは観れませんが

X県での1週間滞在はとても楽しみでした。

 

 

 

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4月の時と同じくらいの時間に

会場の近くへと到着しました。

 

そして同じように

コンビニへ寄り店内に。

 

YUKIちゃん居るかなあ」

 

なんて事を皆んなで話しながら

店内を見てみるものの

YUKIちゃんの姿はありません。

前回のお礼も言いたかったし

今夜のイベントも誘いたかったのに。

 

残念だなぁと思いながらも

気を取り直して

いざライブ会場へ。

 

 

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半年前と同じように

いや、それ以上かも知れません。

今回のライブも大盛りでした。

 

今回も東京から有名なバンドが数組

ゲストとして来ていましたし

地元X県で人気のバンド達も盛り上がってましたし

僕らも2回目と言うことで

前回以上に知ってくれてるお客さんも多く

盛況に少しは役に立てたかなと

胸を撫で下ろしていました。

 

 

そしてまた物販に勤しんでいたのですが

イベント終了と共に

前回と同じく出口へ向かう人の波が

押し寄せてまいりました。

 

今回も有難いことに僕らのコーナーの前で

何人か立ち止まってグッズを選んでくれて

ペコリペコリと頭を下げていたのですが

そのお客さんの中に

コンビニ店員のYUKIちゃんが居ました。

 

「ライブお疲れ様でした♪」

と笑顔で話し掛けられた僕は

ビックリと嬉しいの両方の感情でいっぱい。

 

前回のお礼も言えたし

今日もあのコンビニに寄ったんだよとか

金曜日まで滞在するんだよとか

色々お話し出来ました。

 

とは言え実際に喋った時間は

5分も無かったと思います。

 

でも半年前にフラっと入った

コンビニの店員さんと

こんな感じで交流出来るなんて

面白い縁だなと思ったり思わなかったり。。。

 

 

 

 

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その日の夜は打ち上げがあり

24時間のスーパー銭湯の休憩室で

皆んな寝たんだったかな。

 

次の日の朝から観光して

昼過ぎくらいに僕と後輩以外は

帰っていきました。

 

さあ金曜日まで後輩と2人で

当てもない生活の始まり始まり。

初日は何もするとこ無く

後輩のエスティマの中で車中泊

 

なんかね、

めっちゃ寂しかったのを覚えています。

昨日まで沢山の人達と賑やかだったのに

知らない土地で暗い車の中

今と違いスマホも無いからチョー暇。

無理やり眠りましたよ。

 

朝になっても同じ。

何もすることが無い。

駅前をブラブラしてはみるものの

特に時間は過ぎない。

 

X県X市は県庁所在地なので

駅前はかなり栄えているのですが

いかんせんド平日の昼間なので

流石に閑散としてます。

 

暇を持て余した僕らは

社長が経営するCDショップの1つ

「駅前店」に行きました。

 

そこの店長や店員さんは

若い女の子達でした。

社長も若い(年齢は教えてくれてない)けど

社員も若いなあ。と感心。

 

僕らは店長さん達と喋っていましたが

あまり長く居るのも仕事のジャマ。

何か手伝う事は無いかと尋ねたら

“土曜日のイベントのチラシを配ってほしい”と

頼まれ、僕らは駅前で配り始めました。

 

さっきと同じで駅前をブラブラしてるのですが

チラシ配りという任務があるだけで

気持ちが全然違いますね。

 

色んな人に声を掛け

チラシを渡しイベントの宣伝。

 

その最中、

マックで学校サボってた女子高生達と仲良くなり

カラオケに行ったりもしました。

 

社長のマンションに泊らせてもらったり

一緒にイベントに出た地元バンドの子達の

練習スタジオを見学させてもらい

飲みに行ってそのまま家に泊まったり。

 

なんだかんだで初日以外は

車中泊無しで過ごせました。

 

思い出に残ってる1つに

「今からX放送のテレビ局に行くよ!」

と社長に突然連れられて

夕方の情報番組に出たこと。

 

番組の終わり頃に

確か30秒くらいだったと思う。

社長が土曜日のイベント告知を

早口で喋って

その後ろで僕と後輩がボードを持って

立ってるだけなんですけどね。

 

最後の最後に「よろしく〜!」と

3人で手を振りながら言ったのが

僕がテレビで発した最初で最後の言葉。

 

急に連れていかれて、

訳も分からぬままハイ!本番。

んでハイ!オッケー!お疲れ様!

 

テレビに出た実感は全くありませんが

貴重な体験が出来ましたね。

 

 

そんなこんなで最終日。

金曜日を迎えることになりました。

 

 

 

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後輩のエスティマから荷物を降ろし

僕は夕方発の名古屋行き高速バスで

帰る事にしました。

 

社長や店長さんにお礼の挨拶するために

「駅前店」へと足を運ぶことに。

 

すると店長さんが

「さっきシャアさんのことを

探してる女の子が店に来ましたよ」

と言うんです。

 

んん?

こんな見知らぬ土地で誰が僕を探すん?

 

「駅前の方に行きましたよ」

と言われ

僕も気になり駅前の方へと向かいました。

 

うろうろとそれらしき人を探しましたが

そんな気配すらありません。

 

誰だったんだろ?

と思いつつもバスの時間までもう残り僅か。

 

あきらめて高速バス乗り場へ急ぐことに。

沢山の荷物を抱えながら

ハアハアと息を切らして歩きました。

(駅前から200mくらいあったかな)

 

すると大通りの反対側の歩道から

僕を呼ぶ声が聞こえました。

 

その声の主は

あのコンビニ店員のYUKIちゃん。

 

信号が青になると

こちらに走って来てくれました。

 

「やっと逢えた〜!」

と言うYUKIちゃんも息を切らしていました。

 

僕が金曜日まで滞在してると言ってことを

覚えてくれていて探してくれてたみたい。

 

んで、お店で僕の事を聞き駅前を探し

居ないからまたお店へ行ったら

高速バスで帰ると教えてもらい

バス乗り場まで走って来たとの事。

 

僕ら若干すれ違っちゃってたみたいだけど

バスの発車時刻ギリギリで逢えるなんて

なんかもう映画のワンシーンみたいやん。

 

この流れなら完全にハグ出来る状況。

(しませんでしたが)

 

単純にね、

僕みたいなもんの為に

必死で駆け回ってくれた事が

素直に感動しましたね。

 

手紙を貰えたので

バスの中で読みましたよ。

 

僕らのCDをよく聴いてますとか

書いてあったかな。

またX県でライブして下さいとか。

 

手紙を貰ったときは

ラブレターかと思ったんですが

ファンレター寄りでしたね。

 

まあ、そりゃそうだ。

会うの今日が3回目やし。

 

でもね、

手紙の最後に名前と電話番号が

書いてあったんですの。

 

 

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YUKIちゃんYUKIちゃん言うとりますが

本名は全然違う名前。

 

電話で話すとき

間違えてYUKIちゃんと

言いそうになったこと多数。

 

デザイン系の専門学校に通っているらしいですが

ライブを観て影響されたのか

ギターを練習し始めたと言ってました。

 

友達と一緒に練習してて

凄く楽しいとも言ってました。

 

YUKIちゃんが音楽を楽しんでいる。

僕らがそのきっかけの少しを担ったとしたら

そんな幸せな事は無いです。

 

アドバイスが欲しいと

テープを送ってくれたりもしました。

 

何回か聴かせてもらいましたが

その度に

歌もギターもかなり上達したなぁと

感心するばかり。

 

「もっと上手になったら東京に行って

音楽活動をしてみたい」

 

なんて夢も教えてくれました。

 

YUKIちゃんは綺麗な声をしてましたし

僕にはバス乗り場へ駆けつけてくれた思い出が

鮮明に残っており

YUKIちゃんなら人を感動させる歌を

歌えるんじゃないかなとも思いました。

 

しかしながら

お互い徐々に連絡の頻度が減り

楽しかったX県の思い出の1つとなっていきました。

 

 

 

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30歳前後くらいだったかな。

 

AMラジオを聴いていたら

ある夫婦デュオユニットが

ゲスト出演していました。

 

女性の方の喋りは

独特のイントネーションがあり

それはX県で何度も聞いた訛りでした。

 

「あ、懐かしいな。

この人はX県の出身かな?」

 

なんて思いつつ曲に入ったので

何気に聴いていたところ

声が僕の記憶の中にあるYUKIちゃんに似てる。

 

え!?

 

とラジオの音量を上げて聴くのですが

やっぱりめちゃくちゃ似てる。

 

もしかしてYUKIちゃん?

と思ったのですが

曲が終わったらもうゲストコーナーも終わりで

ユニット名が分からず終いでした。

 

これはホントに全然勘違いかもだけど

もしかしたらYUKIちゃんは音楽を続けていて

夫婦でデビューしてたのかも知れない。

若干、願望込みですが…

 

もしそうだとしたら凄く嬉しい。

あの時の夢が叶ったんだって。

 

どうなんだろう。

 

X県出身の女性ミュージシャンなんて

相当数いますよね。

 

でもね、

YUKIちゃんの特徴なんですけど

ブレス(息継ぎ)の時に

高く上ずるクセがあったんですよ。

 

僕は貰ったテープを何回も聴いたから

よく覚えています。

その上ずる感じが可愛らしくて

個性的だなぁと思ってたんですが

 

ラジオで聴いた女性の歌い方も

その特徴があったんです。

 

 

今となっては

真相は分かりませんが、

あの時のYUKIちゃんの声が

数年後にラジオから流れて来たと考えた方が

ロマンがありません?

 

 

 

 

という所で

今回は失礼したいと思います。

 

これからラジオで曲に入る前

しっかりアーティスト名を聞くように

心がけるようにします。

 

 

お相手は

しゃあtheSkywalkerでした。